おしらせ

Dianaさんの論文がPNASに掲載されました

植物の生殖過程では、雌性配偶体の中央細胞(メス側の生殖細胞の一つ)においてDNAの脱メチル化が起こることが知られています。今回のPNASの論文では、シロイヌナズナのDRE2がDNAの脱メチル化に必要であることを示しています。DRE2は酵母からヒトまで保存されているタンパク質でN末側にS-アデノシルメチオニン結合部位に類似のドメイン、C末にFe-Sクラスター結合ドメインをもち、アポトーシスの抑制、Fe-Sクラスターの成合成に関わることが知られていました。今回の研究結果で新たにDNA脱メチル化を介したエピジェネティックな役割が明らかになりました。

関連サイト
http://www.yokohama-cu.ac.jp/univ/pr/press/140902_res.html

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25197096

 

共同研究の論文が出版されました

東京理科大学の朽津先生の研究室の論文がAutophagy誌に掲載されました。
イネのOsATG7遺伝子の機能に関する論文です。ATG7遺伝子はオートファジーに必要なコンポーネントをコードする遺伝子で、酵母からヒトまで広く保存されています。もちろん、双子葉植物、単子葉植物にも保存されていますが、今回の論文では、シロイヌナズナの変異体では観察されなかった表現型をイネの変異体の解析から報告しています。イネでは、生殖過程での同遺伝子の機能が重要であり、タペート組織における脂質代謝に関与している可能性が強く示唆されています。
https://www.landesbioscience.com/journals/autophagy/article/28279/
私達は、バイオトロンブリーディング法(Ohnishi T. et al., PCP 2011)を用いて、変異体の戻し交配を迅速に行うことで共同研究に参画しました。

 

関根君の論文がPlant Jに掲載されました。

関根君の論文がThe Plant Journal 12月号に掲載されました(Sekine D., et al. Plant J. 2013)。博士後期課程の研究成果の一部として発表しました。
 多くの被子植物では、異なる種や異なる倍数性種を用いて掛け合わせをした場合(それぞれ種間交雑と倍数体間交雑と呼びます)、胚乳の発生異常が原因で生殖隔離がおこることが知られています。種間、倍数体間ともに、父由来と母由来のゲノムの機能の一般性が導き出されるほど、胚乳でおこる発生の亢進や抑制の表現型が似通っているため、両者の違いはこれまでの研究でははっきりしませんでした。しかしながら、種間交雑では「異なるゲノム配列の出会い」、倍数体間交雑では「異なるゲノム量の出会い」と表現することが可能で、それぞれの生殖隔離の分子機構は異なると考えられます。 発表した論文では、2倍体イネと4倍体イネを用いた倍数体間交雑を行い、交雑種子の胚乳発生を解析し、先行研究で行われた種間交雑の結果 (Ishikawa & Ohnishi et al, Plant J。2011)との比較を行いました。受粉後7日目の発生段階において、2倍体の自殖種子と比較すると、母親4倍体-父親2倍体の組み合わせでは胚乳の著しい萎縮が観察されました(挿絵右側写真)。一方で、母親2倍体-父親4倍体の場合は、肥大した子房と透明な液体上の胚乳が観察されました(挿絵右側写真)。そこで、倍数体間交雑での胚乳発生を詳細に解析し、母親4倍体-父親2倍体の組み合わせでは、多核体期から細胞化を経て細胞分裂期への発生進行が早まると共に胚乳核数の減少が見られることを明らかにしました(挿絵)。一方で、母親2倍体-父親4倍体の組み合わせでは、発生進行が著しく遅れると共に早いステージでの胚乳核数の増大が見られました。イネの種間交雑においては、同じように、組み合わせに応じて発生の進行が、著しく早まったり遅れたりすることが観察されています。しかしながら、種間交雑では、胚乳核の分裂頻度は組み合わせが変わっても差がないことが判っています(Ishikawa & Ohnishi et al., Plant J. 2011)。したがって、本研究では、倍数体間と種間交雑の違いを理解することに成功しました。

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