おしらせ

植物の精細胞放出を制御する簡便な方法を開発

植物の精細胞放出を制御する簡便な方法を開発
〜重複受精における精細胞活性化機構の解明に期待〜

 

当研究室所属の杉直也特任助教、丸山大輔准教授らを中心とした研究グループは、青色光(ブルーライト)*1 を照射するという非常に簡便な操作で効率的に花粉管の破裂を誘導できることを発見しました(図1)。

 

図1 青色光照射による花粉管破裂誘導 野生型シロイヌナズナの花粉管に対して青色光照射を開始してからの継時変化。矢尻は破裂した花粉管を示す。 1分以内に約半数という高い効率で花粉管破裂を誘導できた。

図1 青色光照射による花粉管破裂誘導
野生型シロイヌナズナの花粉管に対して青色光照射を開始してからの継時変化。矢尻は破裂した花粉管を示す。
1分以内に約半数という高い効率で花粉管破裂を誘導できた。

 

種子を作る多くの植物の精細胞は自ら泳ぐことができず花粉管の内部を輸送されます。精細胞は卵細胞の近くまで到達した花粉管の先端が破裂することで放出され、放出された精細胞は活性化のステップを経て卵細胞との受精が可能となります。生体内においてこの花粉管破裂は厳密に制御されていますがその全容は明らかになっておらず、人為的な花粉管破裂の制御にも技術的な課題が多くありました。本研究では、青色光を照射するという非常に簡便な操作で花粉管破裂を効率的に誘導する方法論を確立しました。効率的な花粉管破裂誘導法の開発により、花粉管破裂直後に素早く起こる精細胞活性化機構の解析への新たな道が開けました。このことは植物独自の 重複受精の仕組みの解明に貢献するものです。さらには、花粉管破裂異常が原因で交雑できない種間の雑種形成を通した有用作物開発などへの展開も期待できます 。

 

本研究成果は、植物専門誌「Plant and Cell Physiology」に掲載されました。(2024年3月12日)

 

DOI: https://doi.org/10.1093/pcp/pcae018

 

詳細はこちらをご覧ください。

 

記者発表資料

 

植物の精細胞放出を制御する簡便な方法を開発 | YCU 横浜市立大学 (yokohama-cu.ac.jp)

 

 

バイオマス増加をもたらすF1雑種における代謝物の変化を解明

当研究室の杉直也特任助教、筑波大学生命環境系 柴博史教授、草野都教授(理化学研究所環境資源科学研究センター)、東京大学大学院新領域創成科学研究科メディカル情報生命専攻 鈴木 穣教授の研究グループは、多数のシロイヌナズナの系統について、交配によって両親よりも優れた形質を持つ「雑種強勢」の表現型発現レベルごとにグループ分けを行いました。これらの代謝物を比較し、雑種強勢の発現レベルに応じて、TCAサイクル(炭素代謝回路)における中間代謝物の産生量が変化することを明らかにしました。

 

gazo2

本研究成果は、Scientific reportsに掲載されました。(2023年6月12日)

DOI: https://doi.org/10.1038/s41598-023-36618-y

詳細はこちらをご覧ください。

 

記者発表資料20230620sugi

 

バイオマス増加をもたらすF1雑種における代謝物の変化を解明 | YCU 横浜市立大学 (yokohama-cu.ac.jp)

 

木下哲先生がオーガナイザーを務めるCSHAシンポジウムが開催されました!

当研究室の木下哲先生と奈良先端科学技術大学院大学の伊藤寿朗先生がオーガナイザーを務めるCold Spring Harbar Asia Symposium -Integrative Epigenetics in Plants-が開催されました。木下先生、伊藤先生が参加する新学術領域研究(A)「挑戦的両性花原理」も本会議を共催しました。

CHSA08CSHA05

本会議は、2022年12月12日~15日の4日間にわたり、兵庫県立淡路夢舞台国際会議場で開催されました。会議開催当時は中国政府による厳しい渡航制限が課されていたため、中国人参加者約40名はオンライン参加となりましたが、現地会場の参加者は100名を超え、植物エピジェネティクス分野の最前線で活躍されている研究者同士の熱い議論が交わされました。

 

当研究室からは、木下教授、殿崎助教、特任助教の小野先生と杉先生、4年生の上地さん、3年生の櫻井さんが参加しました。

 

口頭発表では、殿崎先生が登壇し、当領域の成果を発表しました。ポスターセッションでの発表件数は参加者の半数以上の75件に上り、そのうち半分以上が学生あるいはポスドク研究者による発表であるなど、次世代を担う若手研究者の活躍が大変目立った大会となりました。

 

CSHA06CSHA07

 

コロナ禍、しかも本邦において感染拡大第8波が始まり海外からの参加者の動向が危惧されていた中で、100名を超える国内外の参加者が、数年ぶりに一堂に介して最新の研究動向についてディスカッションすることができ、改めてオンラインだけでなく対面で議論する事の必要性を感じることのできる有意義な会議となりました。

ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。

詳細なプログラムは下記リンクをご確認ください。

https://www.csh-asia.org/?content/1210

 

 

CSHA01

CSHA03CSHA02CSHA04